2007年10月02日

THE PLACEの『だから言ったじゃない』 4. 見切り発車(3)

大会初出場が決まり、バーテンダーネームも当時の仕事から「サラリーマン」と決めた単純な思考回路の私。

実話はさらに続きます。

フレア・バーテンダー大会「FBN2周年記念 フレア・フェスティバル」は、今日の日本のフレアのトップでもあるミツこと金城光浩選手や、ホテル・バーテンダーの全国大会「HBA創作カクテルコンペティション」で頂点に立ち、国土交通大臣賞を受賞した高野勝也選手など、今にして思えば立派なメンバーが揃った大会でした。
2人をはじめ、多くの選手が今でもバーテンダーの第一線で活躍中です。私はといえば、この大会で選手としての限界を感じるところが私らしい中途半端さでございます。


サラリーマンとしての役づくり。まずはカッチリと髪を七三に分けて、金縁か何かのメガネをして、首からカメラでも提げてアメリカ映画に出る昭和のサラリーマン像をふんだんにと思っていました。
ミスターオクレみたいにしようと思っていました。




しかし、人とはそう強いものではありません。

この大会が生涯唯一の大会になるかもしれないと思うと、そこに躊躇が出てきます。
やっぱり程ほどにしておこうかな。と、髪も普段と変わらない程度にしておいて、まあほどほどに。ここは穏便に。波風立たぬように。

などと、今にして思えば最初から最後まで中途半端なデビュー戦 兼 引退試合でした。

競技本番は、さらにそのハンパ者ぶりが発揮されます。

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2007年09月06日

THE PLACEの『だから言ったじゃない』 4. 見切り発車(2)

これまでよりも実話の「だから言ったじゃない」。誰のことだかわかる方にはお分かりのご様子です。

千葉で行なわれたカクテル・コンペティション「FBN2周年記念 フレア・フェスティバル」(だったような)への出場が決まりました。
今の選手は、「それでは曲を決めなきゃ、全体の構成を」と入念に決めて練習に励むわけですが、当時の(今も)私には胸を張って見せられるスキルなどありゃあしません。

それでは何とか盛り上がるようにするには、笑わせるしかないということで、それを主眼に構成を決めていったものでした。

まずフレア・ネーム。フレア・バーテンダーは個別のニックネームで呼び合う習慣があり、大会にもその名前を申請するのです。
例えば、現FBA JAPANの会長である北條智之氏は「キャットマン」としてキャラクターまで存在します。ちなみに由来は、猫背だからです。
横浜に行かれる機会がありましたら、横浜駅直結のスカイビル1階の「マルソウ」の白いジャケットの人をたずねてみて下さい。
猫背です。
さてそのフレア・ネーム、当時はバーの仕事から一時離れ、確か昼間の仕事をしていた頃でした。なのでフレア・ネームは、

「サラリーマン」

サラリーマンだからやっぱりスーツだよね。メガネもかけてやろう(本番ではこれが功を奏しました)。
当時番組があったら、NHKの『サラリーマンNEO』に「NO FUN, NO LIFE」あたりで出られたかもしれません。(いや、無理だろうな、きっと)
技術に関しては…………………、
今のルーキー、大会に初めて出る若い子たちの方がはるかに上手でした。

FBA JAPANから「アルティメット・フレア・バーテンディング」というフレア教則DVDが出ていますが、そこに2秒くらい出ているようです。
使える部分がそこしかなかったそうです。それでも使っていただけるなんて、みなさん優しいですね。

当時のフレアはこんなんで出場できた古きよき時代でした。

もう少しつづく

catman04.jpg

左がキャットマンの「実写版」。右のカタマリがキャットマンのキャラクターたち。シェークやステアなどカクテルの作り方によってそれぞれ違うポーズをとっています。
誰か商品化してください。

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2007年08月30日

THE PLACEの『だから言ったじゃない』 4. 見切り発車(1)

前回の「だから言ったじゃない『3.のどごし』」はお心当たりのある方から「アンドレ・ザ・ジャイアントと一緒にしてもらうなんて光栄だね〜」と冷ややかにツッコミを入れて頂きました。

さて今回の「だから言ったじゃない」。実話です。

千葉で行なわれたカクテル・コンペティションに出場するご縁をいただいた時のお話です。

その頃から関わりを持っていた、現在はFBA JAPANという組織の会長を務める方とお話をしていた折に、次回の大会への出場をお誘い頂きました。
「1回は出てみるのもいいですよ」
「いや〜、無理でしょ」
「いやいや、ものは試しにやってみましょうよ」
「いや、無理ムリムリムリ」

そんな押し問答の末に、「そうですか〜?じゃあ、やっちゃおうかな」。
これが、だから言ったじゃないの始まりでした。
今からちょうど5年前の8月21日の事です。

その時の教訓は、「物事を中途半端に安請け合いしてはいけない」ということでした。
見切り発車はよくありません。
つづく


logo.gif

FBA JAPANの前身、日本フレア・バーテンダーズ・ネットワークは当時、バーテンダー団体としては名もない小さなものでした。左は当時のロゴ。FBAの日本支部となって名称もロゴも変更し、現在に至っています。

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2007年07月20日

THE PLACEの『だから言ったじゃない』 3. のどごし

THE PLACEのブログ新連載「THE PLACEの『だから言ったじゃない』」。
ほぼ実話をもとに構成しています。

THE PLACEの『だから言ったじゃない』
3. のどごし



かつて働いていたホテルには、酒豪と呼ばれる方が多くいらっしゃいました。長い時間たくさん飲む人。短時間でたくさん飲む人。後者の多くはプロレスラーだったのですが。
有名な方では、総合格闘技イベントの統括本部長を務める一方、プロレスイベントでデスラー総統のようなコスプレをする方が現役の頃、ウォッカを3本飲み干してしまったことがあります。酔っ払いようもワールドクラスでしたが…。
ラウンジのテーブル席をワッセワッセと自分で運び、大きな車座にしてしまった外国人レスラー軍団もいました。
彼らは自分の口でビール瓶を開けていましたし、その量ったら店の酒全部飲まれそうな勢いでしたので、注意も何も遠くで見守るしかなかったのを覚えています。
彼らにとってお酒は「のどごし」だったのですね。

広尾のTHE PLACEにも「のどごしチャンピオン」は時おりいらっしゃいます。見かけはプロレスラーみたいにおっきな方ですが、お堅い仕事をされているご様子です。
「マスター、カクテルはのどごしだよね〜」

そんなの聞いたことありません。

出てきたカクテルを一気に飲み干すのです。それも続けて何杯もです。
同じ飲み方を見たのはアンドレ・ザ・ジャイアント以来です。
作ったそばから、
「マスター、次の作っておいてよ」
「もう酒がないんだけど」
「マスター、つぎ」
「やっぱりカクテルはのど越しだよねー」

もう分かりましたから。

ちょっと強いのを作ってみた時がありました。
前回のブログでも紹介しました「ゾンビ」です。レシピの通り強くて量が多いカクテルです。

「これものど越しでいけるかな」

いや〜、それだけはやめといたほうがいいですよ。
これは強いからゆっくり飲んで下さいよ。
のどごしはダメですよ。

制止する間もなくいかれてしまいました。

「いやさーマスター、最後の効いたよねー」

だから言ったじゃない。

ちなみに、別の日には「だってマスター、ワインはのどごしでしょ?」と仰っていました。

何でものどごしなわけだ。

やはり最後は、

だから言ったじゃない。

という状況になっていましたが。

nodogoshikin.gif

注)THE PLACEで一気飲みは禁止です。


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2007年07月12日

THE PLACEの『だから言ったじゃない』  2. 私に合うもの

THE PLACEのブログ「其の場所」では、そんなよくある光景を思い出しながらの新連載「THE PLACEの『だから言ったじゃない』」をお届けします。
バーという空間では実にたわいもない、しかし微笑ましい、ですが時おり苦み走った記憶に残る、そんな会話が繰り広げられます。

作り話のような実話のような、今日は、こんなお話。

THE PLACEの『だから言ったじゃない』
2. 私に合うもの



誰かが脚本に書いたからなのか、テレビで喋ったせいなのか、ご注文の時によくある光景です。
「私に合うカクテルを作って?」

ほとんどの場合は女性ですが、この時ゾンビカクテルとか、ゴッドマザーなどをお出しする強心臓のバーマンがいるとしたら、間違いなく、
ひっぱたかれます。
ちなみにエクソシストというカクテルもありますが、ぶっ飛ばされるでしょう。

お客さまにおかれましては、ノーヒントでお作りするようなバーマンにもご注意を。
何が出てくるか心配でたまったものではございません。

そこでバーマンは少しずつお好みをお聞きするのですが、やはり聴く耳を持ってくれないお客さまも、たまにはいらっしゃいます。
「何でもいいから、強くても弱くても甘くても辛くても、いいから私のイメージで」

ここで「美味くてもまずくてもいいから」とまで言ってくれれば作りやすいのですが、さすがにこういう方にお会いしたことはありません。

たいがいのバーマンは引き下がりません。
今度は少しでも「嫌いなもの」を聞き出します。

「いいから早く作りなさいよ」

こうなるともう手に負えません。酔っているケースもありますので、深追いは禁物。キレられたら更に手に負えません。
どうにか60〜70点ぐらいは取れるカクテルをお作りするように、バーマンは努めます。
ミントとかクリームとか、もっと注意深くすると炭酸を使うのもリスキーなので避けるケースもあります。

それでも、

「うわ、ナニ?これ? まっず〜い。ホントに私のイメージ?」
「何年やってるの?」
「センスわるーい」

もうボロクソです。

だから言ったじゃない!!

初めて行くバーで無茶なオーダーはやめましょう


ゾンビ〔Zombie〕[名詞](1)ブードゥー教の蛇神.(2)魔術で生き返った死体.(3)《米俗語》[しばしば呼びかけて]まぬけ、のろま.(ライトハウス英和辞典)
(4)アルコール度数も高いロングドリンク。「死体も起き上がる」という事から名前が付いたといわれており、様々なレシピがあるが一様にして強い。
レシピは違うが、同じく「死体も生き返る」という意味でコープスリバイバーというカクテルもある。

 レシピ(例)
  30ml ホワイト・ラム
  30ml ゴールド・ラム
  30ml ダーク・ラム
  15ml アプリコット・ブランデー
  20ml オレンジ・ジュース
  10ml グレナデンシロップ
  15ml 151プルーフ・ラム(75.5度)


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2007年07月09日

新連載「THE PLACEの『だから言ったじゃない』」 1.マティーニ、強い

 THE PLACEに限らず、バーという空間では実にたわいもない、しかし微笑ましい、ですが時おり苦み走った記憶に残るような、そんな会話が繰り広げられます。
 THE PLACEのブログ「其の場所」では、そんなよくある光景を思い出しながらの新連載「THE PLACEの『だから言ったじゃない』」をお届けします。
 毎回短文でお送りするこの新連載、バーテンダーの本音もチラホラ、かるく笑い流してくださいませ。

THE PLACEの『だから言ったじゃない』
1.マティーニ、強い


バーに来たお客さまがいいました。
「お酒は強くないし、カクテルはあまり飲まないけど、マティーニって有名なんでしょ?なら、それを」
彼は言いました。
「いや〜それならマティーニはやめておいたほうがいいですよ。もっと軽めのカクテルもありますから」

聴く耳を持ってくれないお客さまも、たまにはいらっしゃいます。
「でも、やっぱりバーに来たからマティーニを、それじゃ甘くないほうがいいのでドライマティーニを」

私は彼に忠告しました。
「やめときな。軽めの別のを作ってあげなよ」
「いや、でもお客さんがそういうのなら…」
恐れおののきながらマティーニをお出しします。

「うわ、つよ〜い。ナニ?これ? まっず〜い」


だから言ったじゃない!!


お客さまはその後朝方まで、カウンターに這いつくばりながら何かを飲み続けました。
そして、彼もそれに付き合う運命を選びました。



だから言ったじゃない!!


martini.jpg

つづく

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